お知らせ

高校入試問題分析(令和4年度栃木県立高校)

①国語

作文が表と会話を絡めたものでやや難しく感じますが、二年前の外国人との対話形式の問題で練習していればそれほど驚く内容ではなかったはずです。大問1と2は大きな変化は無く、例年と比較しても易しかったと思います。大問3の説明的文章は昨年あったような図の問題は無く、内容的に読み易いです。1問目から55字以内という長い記述問題が出たことに驚いた人が多かったはずです。文字数が多いことで答えるべき内容がやや細かくなり、満点をとることはやや難しいと思われます。<A><B>と二つの部分から本文が構成されているという変わった形式でしたが、難しさを感じるものではないでしょう。大問4の小説は内容も問題も易しいです。こちらにも55字以内という長い記述問題があり、大問3と同様のことが言えます。より具体的に説明する力が求められています。普段の会話でも具体的に話すことを心がけましょう。全体的にみると易しい問題が多く、平均点は他教科よりも高いと予想します。

 

②社会

今年から試験時間が5分長くなり、文章量や資料が増えたように感じます(問題用紙に余白がほとんどありません)。大問1は日本地理。北海道、新潟、大阪、鹿児島の4道府県の細かな知識が必要で、資料の読み取り問題も多く、難易度は高いです。特に8の記述は二つの資料を組み合わせて書かせるため満点をとるのはかなり難しいと、思われます。大問2は世界地理。歴史的な知識が必要だったり、地図が無い中で海と接する面積を考えたり、中国の人口ピラミッドの変化を考える問題があったりと問題が多岐に渡り、難易度が高いです。大問3は古代から近世の歴史で、外国との交流関係の問題です。マルコポーロやハリスなど今まではあまり出てこなかったような細かい人名が登場し、思考力だけではなく細かい知識も求められていると感じます。7の神戸に関する記述問題は教科書にも載っていない内容です。資料も二つ使って考えるため、かなり難易度が高いです。大問4は近現代の歴史で「帝都復興事業」のような中学生が聞きなれない言葉が出てきています。この問題は知識ではなく資料の要約能力が試されていると感じます。また、ミッドウェー海戦のような今までならば出てこなかったような知識も必要となりました。大問5は公民で均衡価格や金融政策の思考系の問題があり、難しく感じるでしょう。正しいものを二つ選ばせる完答問題があり、より正確な知識が求められるようになりました。また、賛成と反対を書く問題があり、戸惑った人が多かったと思われます。最後の大問6はSDGsの総合問題。タイムリーな話題で今後も出題される可能性が高いでしょう。為替に関する思考問題があったり、発電に関する二つの資料を使った記述問題があったりと難易度が高いです。社会は全体を通して知識、読解、思考、表現とそれぞれのレベルが上がっており、平均点は低くなると予想します。社会は暗記すれば高得点…という考えはもう通用しません。しかし、今まで以上に暗記も必要にもなっていると思われます。

 

③数学

出題形式に大きな変更がありました。まず大問1の小問題は14問から8問に減少しました。その他は大問2が計算系単元の文章問題、大問3が確率、標本調査、データの問題。新しい学習内容である箱ひげ図や四分位数の問題が早速出題されました。過去問題には一切無い問題ですから、練習不足の人が多かったと思われます。大問4は図形、大問5は関数でグラフ系問題が3問、文章系問題が3問でボリュームが非常に多くなりました。大問6は規則の問題で反復横とびのような実生活からの出題。昨年までより大問毎に単元がハッキリ分類されたため、分かり易くなりましたが、今までの傾向に慣れている人は戸惑ったと思います。例年は難問が1~3問程度はありましたが、今回はそれ程高難度の問題はなく、得意な人ならば100点をとれる構成です。ただし、数学が苦手な人にとっては基礎問題が少なく、見た目にも難しく感じたと思われます。大問2の割合や大問3のデータ系問題、大問5の電力料金の問題、大問6の反復横とびの問題など実生活に関わる問題が多く出題され、大学入試の共通テストと同様の傾向性が感じられます。数学は社会に出てから使わない…と考える中学生に対してのメッセージと受け取ることができるでしょう。基礎問題で勝負する作戦はもはや通用しません。どのレベルの人でも応用問題に挑戦することが求められるでしょう。

 

④理科

理科も社会同様5分試験時間が長くなりました。理科は2年前から非常に難しくなり、今年度も難易度は高目です。ただし新しい傾向の問題はあまりありません。大問1は小問集合で易し目。大問2は岩石の問題で難易度は高めだと思いますが、2年前に下野模試で出た問題と似ており、解いたことがあれば難しくなかったはずです。大問3は質量保存の問題。比較的易しいですが3の仮説を検証する問題は新しい傾向で難易度も高いです。塩酸の濃度に関連する問題は昨年も出題されているので、練習しておく価値が高いです。大問4はオームの法則の問題で難しめですが、かなり以前の栃木県の問題で練習しておけば易しく感じるレベルです。大問5は動物の問題。ここで点数を稼ぎたいところです。大問6は中和の問題で全体的に難易度が高く、イオンの数を答えさせる問題は特に難しいです。大問7は太陽の南中高度の問題で初見の人が多いはずです。知識と思考力・読解力が試され、本年の理科の問題では一番難しく感じます。栃木県の天体の問題は非常に難易度が高く、勝負をかけるところではないと考えます。大問8は光合成の問題で易しめです。ただし、記号選択問題や記述問題などひっかかる要素はあります。栃木県は植物の問題が出題されることが多く、得点源になるのでよく練習しておくべきです。大問9は運動の問題。凄く難しいわけではないですが、摩擦を考えるものと考えないものがあり、難しく感じてしまうはずです(摩擦を考える問題はあまり見かけないです)。初見になるような問題が多いため、他県の過去問題を使って学習しておくことが有効だと考えます。過去2年と比べると易しく感じますが、それでも難しいです(栃木県の理科は近年非常に難易度が高いです)。

 

⑤英語

英語は教科書が新しくなったことで学習内容に一番変化があった教科ですが、入試問題は昨年度と比べて大きな変化は無かったと思います。大問1はリスニングで昨年と同傾向。大問2は空所補充の記号選択問題と並べ替え問題。大きな変化は感じませんが、関係代名詞の並べ換え等で難易度は上がっていると思われます。大問3は対話文と英作文の問題。資料がやや複雑になり、グラフが入ったことで難易度は上がっているでしょう。5文の英作文はSDGsを意識した環境をテーマにした問題で、事前に準備していなければ難しかったでしょう。大問4は物語系の長文読解。読み取り辛いところはありますが、想像し易いストーリーで問題も易しめと言えます。大問5は文の並び替えやタイトルを選ぶ問題など新しい傾向のものが見られます。全体的に今までであれば注釈が入ったような単語が文章中に注釈無しで使われるようになっていると感じます。今までの入試問題よりも語彙力が必要になっていくでしょう。

 

⑥全体を通して

パッと問題を見るだけで、文字数や資料の数が増え、余白が少なくなっていることに気づくはずです。視覚的に難しく感じられるため、普段から文章を読む習慣を付け、下野模試や他県の過去問題を使って練習しておくことが有効になると考えます。SDGsに絡めて環境系の問題や国際協力を意識した問題がどの教科でも多くなりました。今後もしっかりと抑えておく必要があります。数学は大学入試の共通テストのように、実生活に絡めた問題が増え、全体の構成が大きく変化しました。その他の教科でも資料の読み取りや賛成・反対を選ぶ問題、要約力が試される問題等、新傾向の問題が見られ、過去問題に頼りすぎることはやや危険であると感じました。思考力や表現力が求められる一方で、細かい知識が必要な問題も増え、総合的に難易度が上がりました。問題をパターン化して覚えるようなやり方では通用しなくなってきていると思われます。一つ一つの問題を深堀し、「なぜ?」と疑問を持ち、それについて他者と議論できるような学習をしていきたいところです。このような新傾向のテストに対抗するためには「ノートのとり方」を見直す必要があると考えます。授業の中で実践し、それを皆さんの自主学習でも取り入れ、学びの質を高めていきましょう。テストは難しくなりましたが、大きく成長できるチャンスであると前向きに捉えてください!

 

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