お知らせ

『コラム読書をしよう(11月))』

今年度より新大学入試共通テストがスタートすることになり、どの教科でも文章の読解力が非常に重要になっています。文章読解力を向上させるためには単純ですが、『読書』が有効な手段です。そこで、今泉教室の浜津が毎月1冊のペースでおススメの本をご紹介していきます。

今回は小川糸先生の『ツバキ文具店』。スマートフォンやSNSの登場により、文章を読むことも書くことも少なくなった昨今…、そんな時代に手書きの手紙を代筆することを家業とする主人公のお話です。主人公の鳩子さん(ポッポちゃん)は子供の頃から師匠である祖母に厳しく育てられ、反発して家を飛び出します。しかし、祖母の死をきっかけに家業を継いで代筆屋として生きることを選びます。主人公ポッポちゃんの凄いところは、依頼主が考えた文章を代わりに書くわけではなく、依頼主の性格や心情を察し、依頼主に成り代わって文章を書いてしまうところです。自分だったらこう書く…、ではなく本当にその人になったような状態で筆跡まで真似をし、本人が書いたものとして手紙を出すのです。そして多くの依頼主からの仕事をこなしていく内に恨みの対象であった祖母の本当の想いに気付くことになっていきます。コロナウイルスの影響もあり、対面して話しをすることが少なくなってしまった現在、自分の想いを相手に伝えるということは以前よりもずっと難しくなってきました。普段伝えられない大切なメッセージを手書きの手紙で伝える…。こんな時代だからこそ、是非読んでもらいたい1冊です。画面上の文字ではなく、紙に書かれた文字。文字には書いたその人の想いが込められます。文字は書いたその人がその場にいなくなってしまっても、ずっとあなたの手元に残ります。自分は傍にいられないけれど、自分の想いを込めた手紙が代わりにずっと大切な人の傍にい続けてくれる。その時は伝わらなかった想いも、時を経てもう一度読み返した時に心に届くこともあるかもしれません。是非この作品を読んでいただき、大切な人に今だからこそ書けるあなただけのメッセージを届けてみてはいかがでしょうか。

私はこの作品を大切な人から教えてもらいました。私はその人によく手紙を書いて渡していました。その人は私に返事をくれることはほとんど無かったけれど、その代わりにこの大切な1冊を紹介してくれたのかもしれません。今、その人は私の近くにはいなくなってしまいましたが、その人が教えてくれた作品は私の心の中に生き続けています。そして、その作品を読む度にその人のことを思い出すことが出来る。手紙にはきっとそれと同じような効果があるのだと思います。

 

最後に作中に出てくる心温まるメッセージを添えて終わりとしたいと思います。「失くしたものを追い求めるより、今、手のひらに残っているものを大事にすればいいんだって。それに、誰かにおんぶしてもらったなら、今度は誰かをおんぶしてあげればいい。」

 

 

« »