お知らせ

『コラム・読書をしよう(7月)』

今年度より新大学入試共通テストがスタートすることになり、どの教科でも文章の読解力が非常に重要になっています。文章読解力を向上させるためには単純ですが、『読書』が有効な手段です。そこで、今泉教室の浜津が毎月1冊のペースでおススメの本をご紹介していきます。

今回はテレビでもお馴染みの池上彰さんの『学び続ける力』(講談社現代新書)をご紹介します。生徒さん達に勉強を教えていると「この勉強って大人になった時、何に使うんですか?」という質問をよく受けます。もっともな疑問だと思います。この本はそんな疑問に応える1冊です。

この本の中には『すぐに役立つことは、すぐに役に立たなくなる』という考え方が何度も出てきます。その意味を簡単にご説明します。

一見役に立たない「教養(ここでは一般教科の意味)」を学ぶ時間を削り、すぐに役立つ専門科目だけを徹底的に学ばせると、「できる人間」にはなるでしょう。しかしそれは「決められた枠組み」の中での「できる人間」という意味です。価値観が多様化して、「枠組み」そのものをどう決めるかを問われる現代の社会では「決められた枠組みの中でだけできる人間」は、新しい時代には対応できなくなる可能性が高いです。従来の「できる人間」では、今の問題を設定し、その答えを自ら探していく…、という状況には対応しきれません。コロナウイルスの問題はまさしくこれと一致します。優先すべきは経済合理性なのか安全性なのか、はたまたそれ以外にあるのか…?理系の専門知識だけでも、文系の経済知識だけでも、解は出てきません。既存の枠組みを一歩も二歩も踏み出さなければ、対応できません。教養のことをリベラルアーツとも言いますが、リベラルとは様々な枠組みから自由になることです。では、どんな枠組みから、どのように自由になることなのでしょう。まずそれを考えることが教養の第一歩です。これまでの常識が通用しない変化の激しい今の時代において、すぐには役に立たない教養こそが次の解を出すための実践的な道具に成り得るということです。

すぐに役に立たないことを学ぶことに苛立ちを感じることは理解できます。しかし、「一見無駄に見えるようなことを学ぶ」ことで気付けることがたくさんあるはずです。効率ばかりが重視される現代ですが、私は無駄に感じるものにこそ、大切な事が隠れているように思います。ぼーっとしたり、道草したり、無駄そうなことが私はとっても大好きです!

なぜ学ぶのか?という根本的な部分以外にも「ノートのとり方」や「おススメの本」等、すぐに役立つ情報も書かれています。テレビに出ている池上さんはどちらかというと仏頂面で好き嫌いが分かれるかもしれませんが、物書きとしての池上さんは分かり易く、それでいて博学でとても面白い文章を書かれます。少し古い本ですので、アマゾンなどのネット通販で購入されることをおススメします。

 

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